第4講座:感情の共振的継承(ERT)の理解
感情は学習ではなく共鳴として伝わる
(良い感情が伝わる=共鳴、負の感情が伝わる=共振 と致します)
※本資料は教育および研究目的で作成されたものであり、医療行為や診断を代替するものではありません
講座の目的
感情の伝達を「学習」ではなく「共鳴」として理解することを目的とします。
感情がどのように世代を超えて引き継がれるかを学び、負の感情の連鎖を断ち切り、家族関係の中で癒しと再生を促します。
第1章:感情の共振的継承(ERT)とは
ERT(Emotional Resonant Transmission)とは、感情が言葉や行動による学習ではなく、無意識的な「共鳴」を通して他者に伝わる現象です。
これは親子・夫婦・職場など、深い関係性の中で自然に起こります。
第2章:情動伝染とミラーニューロン
脳内には「ミラーニューロン」と呼ばれる共感神経細胞があります。
他者の感情や行動を見たとき、自分の脳でも同様の反応が起きるため、怒り・悲しみ・喜びといった感情が無意識に移ります。
この神経的共振が、人間関係の“感情の連鎖”を生み出します。
第3章:世代間トラウマの継承
家族内や人間関係で表現されなかった感情やトラウマは、次の世代に引き継がれます。
たとえば「怒りを出せなかった母親の娘が、無意識に怒りを代弁する」ように、感情は言葉ではなく波動的共振として伝達されるのです。
負の感情と家族問題の事例
路傍のカウンセリング №1
-
CACE 1 : 大勢の前に立つとわけが判らなくなってしまう。
三十六歳になる婦人は、PTA活動するようになって胃潰瘍になってしまった。
大勢の人の前に立つと体中が異常に緊張してしまい、自分で何をしているのか判らなく成ってしまう。
一緒に活動する人達も人前に立つのは苦手だと言うが、いざ立ってみてば皆りっぱにこなしているという。
- 私 : 大勢の人のいる前で、恥ずかしいことや、怖いことなどの辛い思いを過去に経験された事はありますか?
- 婦人 : 小学校四年生でしたが、全体集合している時、トイレに行きたかったことを言い出せなくって・・・
- 私 : お漏らししてしまったということですか?
- 婦人 : え、え。 と思い出しながら当時の緊張がうかがえるような表情をされた。
- 私 : その時言い出せなかったのは、何か理由は?
- 婦人 : ・・・?
- 私 : お漏らしするまで言い出せないという事は、普通ではありませんよね。
おそらく無意識ではあっても、それまでの経験の何かが言い出せないストレスになっているんでしょうね。
担任の先生は男性ですか、女性ですか? - 婦人 : 女性の先生でした。
- 私 : その先生についてはどういう印象がありますか?
- 婦人 : 若い先生で、やさしい人でした。
- 私 : それでは、お母さんについては如何ですか?
- 婦人 : 祖父母が厳しい人で、小言を言われたり、私達姉妹の躾が悪いと叱られたりして、家の隅に行っては泣いている事が多かった母でした。
- 私 : それでは先ほどのお話の件は、こうではないのでしょうか?
四年生のある時、全体集会があった。その時トイレに行きたかったが、自分が途中で集会を抜けでしたら、担任の先生が校長先生や教頭先生に叱られてしますかも知れないと!
その時の若い女性の先生と普段自分達のことで叱られ泣いているあなたのお母さんとが重なってしまって、言い出せなかったという事ではないのでしょうか?
私がこのことを推測して語っている途中から、この婦人は「あぁそうだった、それで言えなかったんだ」と思えたのか、お母さんと先生と自分のその時の思いを蘇らせたのか大粒の涙を流して泣かれた。しばらく泣かれた後で「慰められたような、ほっとしたような感じです」と仰っておられた。
-
CACE 2 : 仕事が長続きしない青年
母子家庭の長男であるこの青年は、高校を卒業して以来家庭を支えるために仕事に就いてきたのだが、長続きが出来ない。 長くて半年、三ヶ月で辞めてしまう事も珍しくなかった。
母親は病弱とは言わないまでも持病持ちである。
それに下の弟はまだ、中学生である。この青年を頼りにしたい母親はしっかりいてもらいたいのである。
母親はこの青年を連れ立って幾度か私を訪ねた。 青年と私の顔つなぎの為である。
後日青年が一人で小生を訪ねて来たのである。『お母さんが錦織さんの話を聞いてきなさいと言ったから』と言い、しばしの雑談の後、本題に入った。
- 私 : 職場が長く続かないとお母さんが心配していらっしゃる様ですが、何か原因はおありですか?
- 青年 : 自分でもよくわからないんですが、その職場になれた頃になると嫌に成ってしまうんです。というか、他の仕事がやってみたく成るんです。
- 私 : いつ頃から貴方は自分が長続きできないと感じるように成ったのですか?
- 青年 : う~・・?
- 私 : 小さい時は如何でしたか?
- 青年 : 小学校の時はずっとリトルリーグをやっていました。六年生の時はキャプテンもやりましたし、生徒会長もやりました。
- 私 : それでは、中学生のときは?
- 青年 : テニス部でキャプテンもやりました。
-
しばらくこの青年の過去の思い出をうかがっていると、中学校の二年生の一学期にトラブルが有った事が判明した。
中学校の二年生の一学期が始まって間もなく、発熱の続く病気にかかってしまった。当初原因がハッキリせず入院生活は三ヶ月間に及んだ。
この青年に当時の病名を尋ねると『リュウマチ熱』と答えた。実はこの三ヶ月間の体験によって、この青年の中に大きな変化が生じた。
本人も小学生時代の事を話していた時とは、明らかに違う何かを思い起こしている様だった。
- 私 : それで、この入院期間中に体験したことで思い起こすことは?
- 青年 : 自分には本当の友達が居ないんだなと思いました。 (話ながら涙を浮かべた)
- 私 : それは、どうして?
- 青年 : 僕が入院いている三箇月間に、誰も僕を見舞いに来てくれなかったから!
先生が時々来てくれて『いついつA君が見舞いに来ると言っていたよ』と言うんですが、待っても待っても、ず~と待ってもきません。
また、先生が来て、『B君達が後日に見舞いに来ると言っていたよ』と言うんですが、待っても待っても結局来てくれませんでした。 - 私 : それで、本当の友達が居ないと思ったんですね。
ということは、先ほど貴方は、職場になれた頃になると他の仕事に興味が移ってしまうと言っておられたが、ただ今の話から推測すると、『自分の本当の友達』を探したい為に気移りしてしまうという事ではないのでしょうか?
中学生の時に受けたそのショックが、他人と交わる時に何らかの障害になって心を許して交われない。交われないで数ヶ月が経つうちに他の職種で楽しそうに働いている人達を見ていると、そちらの方に引かれてしまう・・・
というのでは有りませんか?
-
二時間近く話をやり取りする内にこの青年が求めていたものが、自分に合う仕事ではなく、『本当の友達』であったとこがハッキリとした。
友を得るには、自分を信じること、自分が自分に感動できるよう工夫をすること、そして、友人の為になることを進んですることをアドバイスして別れた。
青年を見送ってから、話のあらましを母親に電話で報告した。
ところが、この母親の話の中に出てきた当時のこの青年の病名は、『始めは原因が判らず、細菌の感染による伝染病と診断され、後にリュウマチ熱と判明した』というのである。
この青年の育った所は中国地方の田舎町である、この青年(当時少年)は、小学校時代から野球のキャプテンや生徒会の会長をやっていた目立つ存在だった。
誤診ではあるが、「伝染病で入院した!」という噂は瞬く間に広がったに違いない。
そこで、先生のおっしゃった『A君が来るよ!』である。
そのA君は両親に『病気で入院しているR君をお見舞いに行く』と言えば、『だめだめ!伝染病なんだから、』と止められたに違いない。
人の噂というものは、第一報の情報が嘘でも、間違っていたものでも『真実』になってしまうものである。
この青年はこれまで、自分が入院したのは、『リュウマチ熱』としか聞かされていなかった。
初診の過ちが当時の少年に知らされ、周囲の人達によって、何かしらの配慮がなされていたら、この様な事にはならなかったに違いない。
母親にこの誤解によって生じた青年の心の傷を報告し、当時の詳細を理解できるよう青年に話してくれる様に頼んだ。
一年ほど後、電話でこの青年の近況を伺ったが、『頑張ってくれてます』という母親の話だった。
-
CACE 3 : ご馳走様の後、家族の残したものをたいらげる少年
母子家庭の長男で『中学一年なんですが、体重が90Kgあるんです。体質改善で治せますか?』と、初めて出会った方からの質問は、一人息子がわずか三年間で体重が倍以上に成ってしまった事の相談だった。
- 私 : 不可能という事はないと思いますが、何か原因は思い当たりませんか?
- 母親 : 息子は、とにかくよく食べるんです。家族で食事を終えて「ご馳走様」をしてから、更に食べるんです。皆が残したもの全部食べ尽くすまで食べ続けます。
- 私 : 太る原因は判っているという事ですね。
問題は『何故食べるのか?』という事ですね。
ところで、何年前くらいからその様に大量に食べるようになったのですか? - 母親 : ・・・小学校の四年生頃からですかね。
- 私 : その頃この息子さんにとって何かショックを受けた出来事は有りませんか?
-
この質問をし終えたかし終えない内にこの母親は涙ぐまれた。
何か思い当たることが有ったのだ。 - 私 : 思い当たる事とは、どんなことですか。
- 母親 : 実は三年前に(その頃)下の子が、水難事故で亡くなったんです。
息子(中一)はその弟が大好きで何時も一緒に遊んでいました。
息子が学校に行っている時に事故がおきました。
そういえば、あれからずっと外で遊ばなくなりました。
学校から帰ったら、自分の部屋でゲ-ムなどをして、外で友達と遊ばなくなりました。 - 私 : 大人は耐えがたい事が起こった場合、色々と理由をつけてショックをやわらげるような考え方を探しますが、当時小学生の息子さんは、それが出来ない為に、まともに受けてしまいます。
-
学校から帰ったら弟は死んでしまっていた。
・・・息子さんが受けたショックは、その後のこの少年の思考を変えてしまうに充分過ぎた。一番大切にしたい弟が居なくなってしまったからだ。 - 私 : 今からでも良いですから、『弟が天国で安らかに過ごしている』と思えるように、ご家族で供養祭などをして差し上げたら如何でしょうか。
この少年がその後どうなったのかは判りません。
何か普通とは違う行動や感情表現をする背後には必ず精神的なストレスが隠れています。
普通ではない言動をしている本人にはその原因が判らないのが殆どです。
路傍のカウンセリング №2
-
CACE 4 : 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。
所謂、感情移入のことです。
お坊さんが憎たらしいと、お坊さんが着ている袈裟まで憎たらしく思えてしまう。
大勢の人の前に立つと体中が異常に緊張してしまい、自分で何をしているのか判らなく成ってしまう。
例 : 二十六歳になる女性は、決断しなければならない時になると、どうしても自信が無くなってしまう。
四歳違いの妹は、明朗活発で同じような立場に立っても、迷わずどんどん自分で決めて進んで行く。
進路で迷ったこの女性が私のところに相談に来られたのだが、どうやらこの女性は自分に自信が持てない。
根本的な原因は、婦人のこれまでの接し方にあるらしい事が判った。
後日事情を説明し、その婦人に話を伺う事にした。
- 私 : 長女と次女で何か違った接し方はされておられませんか?
- 婦人 : そうですね、・・・同じ冗談話でも、次女が言う分には笑って済ませますが、長女が言うと怒ってしまう事があります。
下のは可愛いんですが、長女は・・・ - 私 : 長女が生まれた時は?
- 婦人 : 初めての子で、女の子だったので可愛かったです。
- 私 : では、何歳くらいから可愛く無くなったんでしょうか?
- 婦人 : 四、五歳頃かもしれません。
- 私 : その頃何かそれまでと変わった事は有りませんでしたか?
- 婦人 : ・・・次女が生まれて、しばらくしてから勤めに出るようになりました。
- 私 : それで、お子さん達は?
- 婦人 : 長女は隣に住んでいた主人の妹にみてもらい、次女は保育所に預けました。
- 私 : 義理の妹さんの人柄は?
- [この質問で婦人の表情がこわばった。]
- 婦人 : 主人の妹なんですが、頭も良いし性格も強いので、まるで姉のように主人や私に指図したりします。私が嫁いでからずっとそんなんです。
- 私 : 長女は、その義妹さんが面倒を見てくれていたんですね。
- 婦人 : はい、 私が仕事から帰るまで見てもらっておりました。
- 私 : 長女が先日お見えになって「自信が持てない」と仰る。伺っているうちに、どうやらお母さんから愛されていないという思いが、自信が持てない原因なっているんではないかと感じたのですが。
それでは、長女は義妹さんに懐いていたんですね。
お母さんの長女に対する感情は、『坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い』という、感情移入です。
長女が可愛く無くなったのは、この義妹に対して腹立たしい思いが有って、長女を義妹が可愛がったからでは有りませんか? - 婦人 : ・・・そうですね。 ・・・ そうです!
それで、私は娘を・・・
[涙が流れた]
思い出しました、そういえばこんな事が有りました。
私が、仕事から帰って食事の準備をしている時、長女が私にまつわり付いてきたので、大きい声で怒鳴ってしまった事がありました。(仕事上のことでイライラしたまま台所に立っていた)
そうしたら、長女はびっくりしたんでしょう、泣きながら義妹の家に走って行きました。
間もなく、義妹が血相を変えて怒鳴り込んで来ました。
あれからですね、 あれから、あの子が・・・
この婦人は、このことを話ながら、自分が娘を可愛く思えなくなったのは自分の義妹に対する恨みを娘に感情移入していたからである事を初めて理解した。
同時に、何の罪も無い娘を二十数年間差別してきたことに対し申し訳無い思いがいっぱいに成ったのであろう、 しばらくの間目頭を押さえていた。 -
CACE 5 : 坊主憎けり袈裟で憎い。例(2)
『長男の手を握ることも出来ないんです』と言って来られたのは、名門家庭の奥さんだった。
三人の息子のうち、長男だけが成績が思わしくない。
このままでは、家業を継ぐことが出来ない。
思い詰めたこの婦人は、相談できる知り合いの女性に告白した。
『どうしても長男を愛せない! どうしたら愛せるようになるのか?』と。
その女性曰く『長男の手を握って話を聞くようにしなさい』と。
ところが、どうしてもこれが出来ない。
手を握ることすら出来ないほど、長男が嫌でたまらない。
愛されない長男が成績が上がるわけが無い。
- 私 : ところで、この長男が何歳くらいから、「愛せない」と思うようになりましか?
- 母親 : ・・・赤ちゃんのときからだと思います。
- 私 : 長男は、何処で出産されましたか?
- 母親 : 私の実家です。
- 私 : 次男と三男は?
- 母親 : ともに、病院で産みました。
- 私 : それでは、長男の出産は安産でしたか?
- 母親 : ツワリもそれほどではなく、安産でした。
- 私 : その頃実家で何か変わったことは有りませんでしたか?
- 母親 : 現在の母は継母で、実家は商売を営んでおります。
出産で実家に帰った時継母から『こんな忙しい時に帰ってきて!』と嫌味を言われました。
実母は私が十歳のとき病気で無くなりました。 - 私 : それでは奥さん、長男を愛せないのは、出産で実家に帰った時、お腹の赤ちゃんが原因で継母から、腹の立つことを言われ、許せなかった。
許せないのは、継母であるけれども赤ちゃんが原因で、言われたくない嫌味を言われた。
奥さんは継母を許せないでいる事を長男さんに感情移入しているんでは無いのでしょうか? - 母親 : いいえ、そういう事は無いと思います。
・・・・・・(しばし沈黙される)
そういえば、私の姉も始めの子は実家で出産していて、その子が愛せないと言っています。
あァ!そうかもしれませんね。
この母親は賢い方でしたので、詳細は語られませんでしたが、何か気付いた様に思えたので、継母に対する許す理由を考える事をアドバイスして面談を終えました。
数ヶ月後、その母親にお会いする機会があったので、「その後長男とは如何か?」と尋ねると、『お蔭様であれから嘘の様に長男に対して嫌な気持ちがなくなりました。そのせいか、長男の成績もよくなってきております。』と感謝してくださった。
* 親が実の子を愛せないという背景には、同じような感情移入がえてして多いことを知って頂きたい。
-
CACE 6 : 天邪鬼を装う婦人
三十代になる婦人は5歳の女の子と3歳の男の子の母親である。
「最近娘から、『お母さんは私を事愛しているの?』と聞かれてドキッ!とした」と幼い子に心を見透かされたことを吐露された。
下の男の子は可愛がるのだが、娘には心はゆかないと仰られる。
そういえばこの婦人は、普段の服装もボーイッシュである。
髪はショートカット、スカートは履かずパンタロンを好み、男性用のネクタイを常用した。
家庭のことや、仕事の事を通してこの婦人の考え方を知ろうとするのだが、返ってくる答が、こちらの意表を突く事が多く、時によってはこの様な事を言ったらいったい私がどういう反応をするのかと、明らかに人を試す為の発言と判ることすらあった。
この婦人の親友が、この夫婦の危機を聞き及んで私の所に連れて来たので、この親友に婦人の母親を尋ねて頂き、どの様に育てたのかを聞いて貰う事にした。
天邪鬼な婦人の主張は、『母は弟には何でもしてあげ、私には何もしてくれなかった』
ところが、この婦人の母親の話は、『娘には何でもしてあげたのだが、下の息子には何もしなかった。』
双方の話がまるで、違うのである。この婦人の家庭と育った家庭との似ている事は、同じように娘は母親から愛されていないと言い、その娘は弟は愛されていると思いこんでいる事である。
母親を訪問した親友の話の中から親子双方の主張が、何が原因でかくも正反対なのかを理解できる数十年前の出来事が明らかになった。
その突破口となったのは「パジャマ」の話である。
娘(天邪鬼婦人): 母は、弟にはパジャマを着せてあげ、私は自分で着た。
母親: 娘には何でも出来るように手をかけ教えた。
パジャマも自分で着れるように、また整理整頓が出来るようにタンスも自分で整理できるように教えた。娘は三歳の時には『漢字博士』と呼ばれるほどだった。しかし、下の弟が生まれてからはヒネクレ始めたので、私も疲れてしまい、弟には何も教えずパジャマも私が着せてあげました。原因はこの母親が娘を大切にしたい思いの中に何らかの価値観を変えてしまう過去の出来事があるのだということは推測できた。
娘が生まれた時可愛くて可愛くてしょうがなかったと言ったこの母親。
娘を愛する事は、娘が周囲の人達から誉めてもらえるように仕込む事であると思わしめる過去の何かがこの母親の過去にあるのだということが見えてきた。可愛いという思いが有りながら、娘には母親のそのメッセ-ジが伝わらない。
この母親の過去に何があったのだろうか?
母親の生い立ちから幼年期、少女期と順に話をうかがう内に可愛い女の子をめぐる悲しい出来事が、この母親の少女期に繰り返し起きていた事が判った。
あらましはこうである。
ご本人が5~6歳の頃近所に可愛い女の赤ちゃんが生まれたそうである。
あまりにも可愛いので毎日毎日その女の赤ちゃんの家に遊びに通ったそうである。
ところが有る日この赤ちゃんが、突然に死んでしまった。
悲しさと寂しさでしばらく大変な思いをして過ごしたそうである。
それから数年間が過ぎ、小学校の四年生の時また、近所の家に可愛らしい女の赤ちゃんが生まれたそうである。
この赤ちゃんも可愛くて可愛くて学校から帰ると毎日毎日その赤ちゃんの家に通ったそうである。
ところが、この赤ちゃんも有る日、学校から帰ってくると突然に死んでしまっていたそうである。
おそらくこのたび重なった出来事がこの母親の潜在意識に入り込み、自身の愛娘に対して可愛いという意思表示が出来ないようにさせていたのかもしれない。
この母親から聞いた話を30代の天邪鬼婦人に伝えると、その婦人は悟ったようにそれまでの天邪鬼を装うことを辞めた。
後にその親友から、家庭問題も解消されたとの報告を頂いた。
路傍のカウンセリング №3
-
CACE 7 : 息子にお使いを頼むことを怒る夫
ある婦人は『この人(ご主人)は、私が息子に買い物を言いつけるとカンカンになって怒鳴るんです。よその家では、何処でもやっている事ですのに、』とご主人を目の前にして、夫の不可解な言動について質問してこられた。
- ご主人 : 男に買い物なんかさせるな!みっともない!
- 私 : ご主人さんは、幼い時に言付けを頼まれたり、買い物を頼まれたりして何か辛い事が御ありになりましたか?
- ご主人 : 自分達が(子供達)寝ている時、農家のおじさんが『イモが出来たから明日取りに来て』と親に話しているのを聞きながら、・・・また、自分が(男だから)もらいに行かなければならないのかと考えると明日起きるのが嫌になる。
だから貰いに行くにも、日が落ちて暗くなってから行く。その時も道は通らない、ミカン畑の中を歩いて行く。 - 私 : どうして?
- ご主人 : 道を通れば友達が遊んでいるかもしれないから。
そうして、農家のおじさんの家に着いてからも自分から声は掛けたりはしない、その家の庭でじっと待っているんです、いつまでも。
そこのおじさんや、おばさんが僕を見つけてくれるまで。 - 私 : それは、中に知っている子供が(友達)いるからですか?
- ご主人 : ・・・う、うん(うなづき 下を向いて目を潤ませた)
当時貧しかったが故に悔しいことや、恥ずかしい事を子供ながらに耐え切れないほど経験していたのであろう事は充分に想像できる表情をうかべた。
側でこの話を聞いていた婦人は幼い頃の夫を思って同情したようであった。 -
CACE 8 : 火葬場の側を疾走する中年男
ああゆうタイプの人は、チョット怖い!
何故、その人の人格が判らない内から『怖い』と思ってしまうのか?これが、いわゆる『投射』という心理作用です。
私達が見ているものは実は、自分の心の中に有るのもを見ていると言って過言では無いと思います。怖いタイプとは、かって出会った人の中で怨んでいる人、許していない人と同じようなタイプの人であると云われている。
ある男性が、「錦織さん、俺はこの歳(五十歳過ぎ)になっても、夜焼き場(火葬場)の側を通るのが怖くて堪らない。どうしてだろうか?」と尋ねてこられた。
夜間にその火葬場のそばを通る時は、反対側に顔を向けて、アクセルをめいいっぱい踏み込むという。
その火葬場から100メートル先はカーブになっていて、まかり間違えば崖から転落するかもしれない。
判っているが、怖くて正面を見ることが出来ない。というのである。
- 私 : Fさんは、幼い時に怖い思いをされた事はありますか?
- F氏 : ・・・・あります。
(怖かった出来事を思い出された時、目をみひらいて怖い思いを今されているような表情をされた。) - 私 : それは何歳頃ですか?
- F氏 : 小学校の五年生の時。
学校へ行く前に家業を早朝から手伝う事が常で、仕事を終える頃には学校が始まってしまう。いつもいつも遅刻していると見っとも無いのである時三日間学校に行った振りをして、遊んで帰ったことがありました。
三日目の夕方、家に帰ると親父が玄関で仁王立ちになって待ち構えていた。学校から登校していないと連絡が入っていたのだった。
親父は家に入れてくれなかった。夜になると腹が空くので、近所の畑の果物をもいで食べた。そうしたら、その持ち主が『あんたの息子が取って食べた』と言いつけに来た。
それを聞いた親父は血相を変え、夜中に俺を空家にひっぱていってそこに縄で縛って俺を吊るし、真っ暗な空家の中に俺は独り置き去りにされた。
怖くて、怖くて「助けてくれ~!」と叫んでも、母親すら来てくれなかった。
(思い出していながら顔面蒼白になっておられた) - 私 : それで、どの様に思いましたか?
- F氏 : おばけが来ると思って・・・コワカッター!(今にでも泣き出しそうな表情をされる)
(しばらくしてから)それで俺は焼き場がこわいんだなぁ・・・(とつぶやいた)
我々の心の中というものは、実に不思議なものである。
過ぎ去った数十年前の事が、現実の生活に影響を与えている。
とりわけそれがショクが大きい出来事(悔しい、怖い、恥ずかしい、寂しい等々)である場合、その出来事に対するプラス的な解釈が出来るまで、その人の人生に負担となるストレスとして影響し続けるのである。
このとき傷ついた感情は、我々の欠点や短所と言われるものと密接な関係が有るようである。 -
CACE 9 : 精神ストレスと病気の関係
ある時慢性病で悩んでいる方が来られたので、その方に『あなたがその病気に成った時、「・・・」この様な事で辛い思いをされませんでしたか?』と質問したら、ポロポロといきなり涙を流され、『・・・・・・、こういう事がありました。』と語り出されたのです。
この出会いがきっかけで病気をお持ちの方々に合うたび発病の時の精神ストレスを伺ったところ驚いた事に病気によって共通するストレスが有ることが判りました。
以下私の私感で捕らえたものですが、皆様の参考になればとこれまでの間で判っている範囲で書き連ねたいと思います。
-
CACE 10 : 便秘No.1
便秘といってもそんじょそこらのもんとは違います。一日二日というのではなく、二週間三週間というひどい便秘です。
あるご主人が「家内をどうにかしてやりたいが、なにかいい手は有りませんか」と言う事で『効果があるか無いかは判りませんが、ともかく伺ってみます』と訪問を約束した。
後日その方の家にお邪魔して、早速奥さんの話をうかがった。奥さんによると、若い時には便秘では無かったとのことであった。便秘になったのは、どうやら三十歳を過ぎてからのようである。
- 私 : 何歳くらいからですか?
- 奥さん : そうですね、・・・三十二、三歳ころからでしょうか。
- 私 : その頃何か辛い事は有りませんでしたか?
- 奥さん : ちょうどその頃は、こちらのお母さん(姑)の浪費の件で家の中がごたごたしておりました。
-
この姑の浪費は、この数年前にもあ有ったとのこと。
やたらに高いものばかりを買い捲る。買ったものを使うのでもなくただ買う。若夫婦は送られてきた高額な請求書を見て驚いた。自分たち夫婦だけでは返済できない金額だったので、他の兄弟夫婦にも訳を言い、互いにお金を出し合って返済したとの事であった。
その時この姑はお金欲しさに、奥さんが実家の両親から結婚のお祝いに頂いた着物を質屋に流してしまっていたとのこと。
この着物は貧しかった両親が無け無しのお金を叩いて祝ってくれた言わば、この奥さんの宝のような物だった。姑はこれからは、『二度と同じような事はしないと』と誓っていた。
ところが、それから幾年か過ぎた時(奥さんが32~33歳)、またしても姑の浪費が発覚した。
便秘を引き起こすストレスは、この時奥さんが実の姉さんとのお金の貸し借りのやり取りの中で受けた強い精神的なショックが、原因ではないかと推測される。
それでは、便秘が十日も二十日も続く方々が共通していている精神的なストレスとは何であろうか?
それは『心配事を相談したいにもかかわらず、相談する事が出来ない辛さを辛抱しなくてはならない』というものです。
では、この婦人の場合はどういう事だったのだろうか。
この婦人は、八人の兄弟姉妹の末っ子として生まれ、一番上のお姉さんがお母さん代わりで身の回りの世話をしてくれたそうである。
両親は八人の子供達を養う為に、朝は日ので前から夜は星が見えるまで畑に出て働いた。この婦人は、子供の頃から両親とゆっくり話した記憶がないという事だった。
- 私 : 子供の頃は誰が相談に乗ってくれていたんですか?
- 奥さん : すぐ上のお姉さんです。
- 私 : それでは、姑さんが二度目に浪費が発覚してしまった時はどうされたんですか?
- 奥さん : 義理の兄弟達にもこれ以上は出来ないと断られてしまったので、苦しくて辛くてどうしようも無くなり、すぐ上のお姉さんの所に行きました。
- 私 : 身内で唯一相談できるお姉さんでしたね。
- 奥さん : はい。それで、訳を言ってお金を貸してくれないかと頼んだのですが・・・
- 私 : 断られたんですね。
- 奥さん : ええ。お金は無いと。
それで、『お姉さんが嫁いだ時に両親から貰った着物を売ってくれないか』と頼んだところ、姉はひどく怒って『そんな事を言うのだったらもうこの家には来るな!』と言いました。 - 私 : 便秘はその件があってからでは有りませんか?
- 奥さん : ・・・そうですね。・・・あれから後ですね。
この後、奥さんに幾つかの事例をあげ「相談できなくなってしまった」というストレスと便秘が関連している事を説明した。
ある方は、両親が海運業を営み何時も家に居らず、授業参観日も隣のおばちゃんが両親に頼まれ来ていたという人も居りますが、皆さんの共通するところは、このストレスに気付くまで、心配事を抱え込んでしまう事が癖のように成ってしまっているというこです。
-
第4章:負の感情の伝達メカニズム
- 強い感情が表現されず抑圧される(悲しみ・怒り・恐怖)
- 無意識下で他者に共鳴し、似た行動や感情反応として現れる
- 感情を受け取った側が「自分の感情」と誤認する
- こうして負の感情が世代や集団に連鎖していく
第5章:感情の連鎖を断ち切る3つの条件
- 気づく ─ 自分の中にある感情が「誰のものか」「何時からあるのか」を見付ける
- 理解する ─ 感情の背景にある出来事を理解する
- 許す ─ 感情を押し付けた相手と、自分自身を赦す
第6章:ワーク ─ 家族関係図に感情の流れを描く
- 家族(親・祖父母・兄弟など)の関係図を描く
- 各人物が抱えていた「未表現の感情」を思い出す
- 自分が無意識に引き継いでいる感情を書き入れる
- 「それは誰の感情か?」を意識して見直す
家族関係を俯瞰して見ることで、見えなかった感情の連鎖が浮かび上がります。
第7章:感情の共振からの解放
感情は「理解」されることで鎮まり、「否定」されることで固定化します。
共振の鎖を断ち切るには、「感じる」「理解する」「赦す」の3段階を経て、感情を統合することが鍵です。
第4講座まとめ
- 感情は学習ではなく、無意識の共鳴によって伝わる
- 負の感情の継承は、気づき・理解・許しで断ち切れる
- 感情の出所を見極め、自分の内に平和を築くことが癒しの本質
- 家族関係は「感情の鏡」であり、癒しの舞台でもある
病気の本質目的論研究会